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うさぎを飼育する中で、「歯のトラブル」は避けて通れない重要な健康課題のひとつです。その中でも不正咬合(ふせいこうごう)や歯根膿瘍(しこんのうよう)といった慢性疾患はとくに注意が必要で、獣医療の現場でも歯科治療の専門性が高まりつつあります。
国内外で進むうさぎの歯科疾患に関する臨床研究の進展と、私たち飼い主が日常でできる予防法についてみてみましょう。
■ うさぎに多い歯科疾患
うさぎは一生伸び続ける「常生歯(じょうせいし)」を持つ動物です。そのため、噛む・すり合わせるという日常の動作が不十分だと、歯が異常に伸びてさまざまな疾患を引き起こしてしまいます。
主な歯科疾患:
- 切歯・臼歯の不正咬合:歯並びのズレにより口腔内を傷つける
- 歯根膿瘍:歯の根に膿がたまり、骨や眼球にまで影響が出ることも
- 食欲低下・流涎(よだれ)・体重減少などの二次症状
これらは、発見が遅れると命に関わるケースもあり、定期的なチェックと予防が重要です。
■ 臨床研究の進展:より安全で効果的な治療へ
2020年代以降、国内外の動物病院や大学機関でうさぎの歯科診療に関する研究が活発になってきています。
🔬 近年の研究トピック例:
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歯科用CTを活用した立体的診断法 従来のX線だけではわかりにくかった歯根や顎骨の状態を高精度で可視化できるようになりました。これにより、より適切な外科処置や温存治療が可能に。
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低侵襲の歯根膿瘍外科+抗菌療法の併用 従来は抜歯・開口手術が中心でしたが、抗生剤の効果的併用や樹脂充填法(レジン)により、身体への負担を抑えた治療が増加中です。
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奥歯の削り方に関する治療方法の見直し 以前は奥歯を大きく削る処置が主流でしたが、最近では「削りすぎず、できるだけ自然な形を残す」治療が重視されるようになってきています。
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麻酔・鎮静法の研究 短時間・局所麻酔で安全に歯科処置を行えるよう、うさぎの体質に合わせたより安全な麻酔のかけ方も進化しています。
これらの進展により、うさぎの歯科診療は“専門科目”として確立されつつあり、治療精度が格段に向上しています。
■ 日本国内の対応状況
- うさぎの診療経験が豊富な動物病院では、口腔内カメラ・歯科用X線・CTを備えている例が増えてきました。
- 大学病院(日本獣医生命科学大学、北里大学など)では、歯科疾患を含むエキゾチック動物医療が研究対象になっています。
- ただし、一般的な犬猫中心の動物病院では未対応の場合も多く、事前に“うさぎOK”を確認することが重要です。
■ 飼い主ができる予防ケア
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牧草中心の食生活 繊維質の多い牧草を主食とすることで、歯の自然な摩耗が促されます。チモシー1番刈りがおすすめです。
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定期的な口元チェックと動物病院での健康診断 月1回の顔・口元観察、半年〜1年ごとの健康診断で早期発見につなげましょう。
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硬すぎない“かじり木”でストレス解消も兼ねる 天然木や藁素材のかじりグッズは、歯の自然な摩耗+リラックス効果が期待できます。
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食欲・飲水量・毛づくろい行動の変化に注意 「なんとなく元気がない」は歯の痛みサインかもしれません。
■ まとめ:歯の健康は命を守る第一歩
うさぎの歯科疾患は静かに進行し、気づいたときには深刻化していることも多い病気です。 しかし、近年の獣医療の進歩によって、診断・治療の選択肢は確実に広がっています。
何より大切なのは、日々の観察と“早めに相談できる病院”との関係づくりです。 健康でご機嫌なうさぎライフのために、ぜひ定期的なケアとチェックの習慣化を!
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