近年(2025年現在)、アメリカを中心に遺伝子改変されたペットが科学界や飼育愛好家の間で注目を集めています。その象徴ともいえる存在が、「光るウサギ(GFPラビット)」です。
この記事では、光るウサギの技術的背景や目的、倫理的な論点、今後の社会的影響について、わかりやすく解説します。
■ 「光るウサギ」って本当に存在するの?
実在します。 「光るウサギ」とは、GFP(緑色蛍光タンパク質)というクラゲ由来の遺伝子を導入して、特定の波長の光を当てると体が発光するように設計された遺伝子改変ウサギのことです。
この技術は元々、医療研究分野で細胞の挙動を追跡するために利用されていたものですが、現在では一部の研究者や「バイオハッカー」によって、一般ペットとしての応用が模索されつつあるのです。
■ どうやって“光らせて”いるのか?
光るウサギは、次のようなステップで生まれます:
- GFP遺伝子(クラゲ由来)をベクターとして挿入
- 受精卵にCRISPR-Cas9などの遺伝子編集ツールを用いて導入
- 成長後の個体は、特定の波長(青・紫外線)を当てると緑色に発光
この遺伝子は常時発現しているため、皮膚や毛、目の部分が蛍光グリーンに輝くように見えます。
■ 目的は「かわいい」だけじゃない?
意外に思われるかもしれませんが、**光るウサギの本来の目的は「可視化による科学的追跡」**です。
🔬 医療・再生医療の研究分野での応用
- 臓器移植や幹細胞の移動を可視化
- 遺伝子治療の経過観察に使われる
- 感染症研究のためのマーカーとしても活躍
しかし、近年では一部のバイオアートや商業志向のプロジェクトによって、「観賞用ペット」としての応用も始まっている点が注目されています。
■ 倫理的な議論と懸念点
「光るウサギ」に関しては、倫理面での課題も多く指摘されています。
❗ 問題視されているポイント
- 動物福祉:ウサギに不自然な遺伝子を組み込むことの是非
- 目的のあいまいさ:実用目的ではなく、“見た目”のための改変は許されるのか?
- 生態系への影響:逃げ出した場合、他個体に影響を与えるリスク
これらをふまえ、EUの多くの国ではペット目的の遺伝子組み換え動物の販売は禁止されています。一方で、アメリカでは州によって規制の緩さに差があり、“グレーゾーン”としてプロジェクトが進行しているのが現状です。
■ 日本ではどうなる?
現時点(2025年)では、日本国内での遺伝子改変ペットの流通や飼育は法律で認可されていません。動物愛護法やカルタヘナ法(遺伝子組換え生物の管理法)によって、厳しく制限されています。
ただし、研究機関ではGFPウサギが実験動物として正式に飼育されている例はあります。今後、海外での商用化が進んだ場合、日本にも波及する可能性がゼロではないため、規制と倫理のあり方が問われるテーマとして注目される可能性があります。
■ まとめ:「光るウサギ」が問いかける未来
「光るウサギ」は、科学の進歩によって実現した驚きの存在であると同時に、命とテクノロジーのあり方を考えさせられる存在でもあります。
見た目の面白さや話題性だけでなく、「本当にそれはうさぎにとって幸せなのか?」という視点を持つことが、飼い主や市民に求められているのかもしれません。
参考サイト:Your Next Pet Could Be a Glowing Rabbit | wired.com