近年、うさ飼いにとって見過ごせないウイルス性疾患である「RHDV2(Rabbit Hemorrhagic Disease Virus 2)(うさぎ出血病ウイルス2型)」。2020年以降、世界各国で感染が拡大しており、ペットうさぎや野生の個体に深刻な影響を及ぼしています。
RHDV2とは?
RHDV2は、うさぎにのみ感染するウイルスで、非常に感染力が強く、致死率も高いことで知られています。感染後、症状が出る前に突然死するケースもあるため、発見が遅れがちです。
主な症状
- 突然死
- 呼吸困難、けいれん
- 鼻や口からの出血
- 食欲不振、活動性の低下
症状が進行するスピードが速く、発症からわずか1~2日で命を落とすこともあります。
感染経路
RHDV2は、以下のような経路で感染します。
- 他のうさぎとの直接接触
- 人の衣類・靴に付着したウイルスによる間接感染
- ハエや蚊を媒介とした感染
- 牧草や野菜に付着したウイルス
たとえ屋内飼育でも、飼い主の外出によってウイルスが運び込まれる可能性があるため、注意が必要です。
飼い主ができる主な予防対策
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外出後の衛生管理の徹底 衣類や靴の着替え、手洗い・消毒を毎回行いましょう。
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信頼できる牧草や野菜を使う 屋外で採取した草や野菜は与えないようにしましょう。
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昆虫対策 夏場は蚊やハエの侵入を防ぐために、網戸や殺虫アイテムを活用します。
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新しく迎えるうさぎの隔離期間 新しいうさぎをお迎えする場合は、14〜30日間は既存のうさぎと接触させないことが推奨されています。
海外での対応事例
🇦🇺 オーストラリア
- **感染率58%(2025年5月時点)**と高く、Filavacワクチンを使用しながら感染抑制に取り組んでいます。
- 「市民科学」活動により、死んだ野生うさぎの通報や検査報告が制度化されています。
- 野生駆除とペット保護の両面で政策が進められています。
🇺🇸 アメリカ
- 2021年以降19州以上で感染確認。
- USDAや州政府により、州境をまたぐうさぎの移動規制が設けられています。
- FDAの緊急許可により、Medgene製ワクチンが一部地域で接種開始済みです。
🇪🇺 ヨーロッパ
- フィラバック(Filavac)やYURVACなどのRHDV2対応ワクチンが一般的に普及しています。
- 季節的流行(特に春)に備えた定期接種が推奨されており、ペットショップや獣医が連携して取り組んでいます。
日本国内のワクチン導入状況は?
- 2025年6月時点では、RHDV2専用ワクチンは未承認です。
- 農林水産省や動物検疫所は、輸入うさぎや飼育者に対して防疫・隔離措置の強化を呼びかけています。
- 一部の研究機関では国内導入のための調査・評価が進められているものの、具体的な承認時期は未定です。
今後の備えとして飼い主ができること
- 信頼できる獣医師に相談し、ワクチン導入の動きが出た際の早期接種に備える
- 海外うさぎイベント・用品などでの接触感染対策を意識する
- 「突然死」の報告を見かけたら、市町村や獣医への通報を行う
まとめ:RHDV2への正しい理解と対策を
RHDV2は非常に怖いウイルスですが、正しい知識と行動で感染リスクを減らすことができます。 特に海外では、ワクチン接種や検疫体制の強化によって感染拡大の抑止に一定の成果が見られています。
日本においても今後、ワクチン導入や検疫制度の整備が進むことが期待されます。 飼い主としては、日々の清潔管理と予防意識の継続が、うさぎの健康を守る最良の方法となるでしょう。